社長インタビュー

人との信頼関係が企業を育て、社会をつくる

「まず、リピート受注率は100%ですね」

株式会社オールスマートの業況について尋ねたとき、吉峰和寿社長は第一声にこう答えてくれた。

「とにかく、『困ったらオールスマートへ』という感じで、よくご相談をいただきます」

2022928日をもって、株式会社オールスマートは13周年を迎えた。業績は、創設以来連続して右肩上がりで下がったことがない。IT業界、特にシステム開発分野では、仕事に溢れ、エンジニアが不足しているといわれ続けている背景からも、業績が好調であることは推察できる。 

しかし、吉峰社長の話を聞くにつれて、オールスマートが単に業界の追い風に乗っているだけのIT企業でないことがわかってくる。

新規受注はすべて紹介から

リピート受注100%のオールスマートに営業部門はない。社員の大半がエンジニアで構成されている。

いくらリピート受注100%だからとはいえ、営業部門が必要ないということはないだろう。営業部門がなければ、そもそも新規の仕事は、どうやって確保していくのか。新規受注があってこそのリピートだ。

 

「新規の仕事は、すべて紹介から生まれてきていますね。昔一緒に仕事をしていた仲間だったり、それこそお客様が、新しいお客様を紹介してくれたり、という感じです」

ここにオールスマートの企業としての凄さがある。

 

紹介もしくは口コミ。これほど受注確度の強いマーケティングはないだろう。なぜなら、その背後には信頼関係が成り立っていることが前提となるからだ。この最も強いマーケティングで仕事が成り立っているということは、お客様がオールスマートに対して絶大なる信頼を置いているという証だ。

 

紹介されるお客様の中には、システム開発に行き詰まり困っているケースも思いのほか多いという。

「自社内での開発で行き詰まってしまうケースもあれば、他社で進めていてどうにもならなくなってしまったという相談も結構あります。そのようなお話をまずはお聞きして、オールスマートで対応ができるようであれば、忙しくても引き受けてしまうところがありますね」

と、吉峰社長。目の前で困っているお客様の顔を見てしまうと「何とかしてあげたくなる」という気持ちになってしまうらしい。

 

「きっと性分なんですね」とにこやかに笑う。

 

お客様が期待している以上の成果を出す

困っている人は見過ごせない、という優しい一面がある一方で、仕事に対する姿勢はやはりプロフェッショナルを徹している。

エンジニアとして個人で独立して以来、守り続けてり続けている仕事への哲学は、「お客様が期待している以上に成果を出すこと」。

納期はもちろん厳守。

受けた仕事は、期待値以上の仕上がりを目指し完遂させる。

吉峰社長独自の哲学ではあるが、この哲学がオールスマート社員すべてに行き渡っている。

「オールスマートにお困りごとの相談が多いのも、お客様のお話をとことんまで聞くからだと思います。ただお客様の要望、指示をつぶさに聞区ことだけにとどまらずに、誰がどのように使うのか、という使い道の部分まで掘り下げていきます。それを聞いた上で、さらに品質の高いシステムが構築できるようであれば、それを提案します」

お客様が「1」を相談したら、オールマートは「10」を答える。そして、お客様にとって最良の答えを必ず導き出す。

「そもそも、『オールスマートに声をかけた』ということは、私たちのことを信頼し期待しているからですよね」

 

だから、自分が持っている力は出し惜しみしない、すべて使い果たす。そして、納得いくまでお客様に寄り添い、喜んでもらう。仕事を依頼する側としては、これほど頼りになるパートナーはいないだろう。

お客様と社会をHAPPYにするために、まず自分達から

お客様との信頼構築、寄り添いながら期待値以上の結果を残そうとする姿勢。実はこのスタイルを底辺でしっかり支えているのが、経営者側と社員との信頼関係だ。

 「社員には、まず自分を大切にしてもらうようにしています。そもそも、自分を大切にしないと他の人に優しくなれませんから」

 オールスマートでは、新卒、中途採用を問わず、入社したら「内観合宿」を受ける。1泊2日で行われるこの合宿では、目一杯の時間を使い、生まれてから今日までのすべてを振り返り、自分と向き合う。そして、この合宿には、吉峰社長も一緒に参加する。

「お互い心の内から分かり合って信頼関係を築きたいと思っています。そもそも、僕は『社長と社員』という縦つながりの関係って大嫌いなんですよ。ずっと横並びの関係だと思っています」と吉峰社長は語る。

 

独立してより多くの仲間と励まし、支え合い、そしてその延長線上に今のオールスマートがある。

「だから、社員の人たちは、僕にとってすべての社員がみんな『大切な仲間』なんです」

その仲間たちが楽しく活躍できる環境づくりこそ、社長の仕事だとして取り組む。大切な仲間のために社長としてできることを目一杯やっていく。その意気込みが吉峰社長の言葉の端々から伝わってくる。

「顧客や社会をHAPPYにするために、まず自分達がHAPPYでいること」

これは、オールスマートのミッション冒頭の一文だ。まさにこのミッションを見事に実践し、お客様との信頼関係をつくり、業績を伸ばしている。

企業というものは、営業力や技術力といった表現でその力量が評価されることが多い。しかし、その力量を根底で支えているものはやはり「人」であり、上下隔たりのない「信頼関係」が整ってこそ、そのパフォーマンスが最大限に発揮されていく。

 

株式会社オールスマートの仕事に向き合う姿は、激しい変化の中でつい忘れがちになりそうな、そんな「企業の本質」ともいえる大切なことをあらためて思い起こさせてくれる。

取材・執筆:白銀肇

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